皆さん、「ネズミのニート」として語られる実験をご存知ですか?
正式には、研究者ジョン・B・カルフーン(John B. Calhoun)が行った、いわゆる “Universe 25(マウス・ユートピア)” の実験です。 1968年ごろに始まり、1970年代初頭まで観察されたものとして知られています。
実験の条件を、人間に置き換えるとこんな感じです。
● 食料は無限にある
● 水も無限にある
● 病気や外敵はほぼない
● 住める場所(巣)も十分にある
● つまり「生きるための条件」が整いすぎている世界
一見すると「理想郷じゃん」と思うんですが、結果がめちゃくちゃ示唆的なんですよね。
久田晃楽園に入れたネズミはどうなったか
1. まず繁栄する
最初は、当然のように増えます。安全で、飢えず、死ににくい。
だから個体数は伸びていく。
2. でも、途中から“停滞”が入る
あるラインを超えたあたりから、空気が変わっていきます。
- ✓争いが増える
- ✓子育てが雑になる(育児の放棄が増える)
- ✓落ち着いて群れを作る行動が崩れる
- ✓コミュニティ内の役割が偏る
ここで面白いのが、環境は豊かなのに、社会の側がうまく回らなくなるという点です。
3. 生殖意欲が落ちる(求愛が消える)
ここが一番怖いところで、 「増やす条件は揃ってるのに、増えなくなる」が起きます。
- ✓求愛行動が減る
- ✓交尾が減る
- ✓子どもが生まれても育たない
- ✓母親が育児を放棄するケースが増える
つまり、環境としては繁殖できるのに、社会として繁殖できなくなる。
4. 最後は減少して、最終的にゼロになる
出生が止まり、残っている個体が老いて死んでいく。 結果として集団は終わる。
この崩壊をカルフーンは 「Behavioral Sink(行動の崩壊点)」 のような言葉で表現しました。 要は、物質的な不足がないのに、社会的な関係性が壊れて、自滅に向かうという話です。
これ、人間にも当てはまるのか?
ここは丁寧に言っておきたいんですが、ネズミと人間は違うので、そのまま当てはめるのは危険です。 「この実験=人類の未来」みたいに断定するのは、さすがに雑すぎる。
ただ、それでもこの実験が刺さるのは、次の点です。
「欠乏がなくなったら幸せになって増える」 みたいな単純なストーリーでは、社会は動いていない可能性がある。
人間にも、
- ✓安定しすぎると挑戦しなくなる
- ✓過密やストレスで関係が壊れやすくなる
- ✓関係が壊れると恋愛も結婚も出産も止まりやすくなる
- ✓“条件”が揃っていても意思決定ができなくなる
みたいなことは、普通に起き得ます。
だから少子化って、「お金がないから」だけでもないし、「出会いの場がないから」だけでもない。 もっと手前の 関係性が作れない/続かない/家族化に進めない という部分が詰まっていると、社会全体がじわじわ弱っていく。
久田晃少子化の向き合い方は“バランス”になる
この実験が教えてくれるのは、「楽になれば勝ち」ではなくて、むしろ逆で、
- 欲求
- 悩み
- 葛藤
- 役割
- つながり
- 生活の手触り
こういうもののバランスが崩れたとき、集団は繁栄どころか萎んでいく可能性がある、ということです。
少子化問題も同じで、数字(出生数)だけを追いかけると、本質を見失います。 本当に大事なのは、出会い → 関係構築 → 家族化 のプロセスが回る状態をどう作るか。
UKERUとして、ここからどうするか
経営者として私が今後やっていきたいのは、 「人口を増やすこと」そのものを正義にするのではなく、関係性の形成が回る土台を現場から整えていくことです。
僕らUKERUは、いまは恋愛やコミュニケーション支援という入口から入っています。 でも狙っているのは、恋愛の攻略ではなく、孤立が減り、人がつながり、意思決定ができる状態を増やすことです。
このテーマは、きれいごとだけでは絶対に進まないし、難しさも多い。 それでも私は、目の前の一人ひとりの関係性が変われば、社会の空気も変わっていくと信じています。
私自身、「穴だらけ」「まだまだ未熟」と感じることが今もあります。経営者として完璧ではないし、完璧になろうともしていない。それでも前に進み続けることが伝わると、同じように不完全でも動いている人の背中を押せると思っています。完璧を目指す前に、今日の一歩を踏み出したかどうかだけが残ります。
久田晃だからこそ、これからも「現実の構造」を見ながら、やるべきことを積み上げていきます。
楽な答えに逃げず、でも希望を捨てずに、長期で戦える形にしていきたいと思っています。




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