
経営と事業
マッチングアプリ業界が成長するほど、私が違和感を覚える本当の理由
2026.07.28
少し前、「koigram」というタップルを運営してる会社のマッチングアプリのサービスが終了しました。
同じ頃、Dineというアプリが買収されたというニュースもありました。
マッチングアプリの新陳代謝、進化、成長というニュースをこの数年でよく目にするようになりました。
業界全体で見ると、マッチングアプリ市場は右肩上がりで成長しています。
需要と供給がますます大きくなっている。
実感としても、ニュースとしても、両方から伝わってきます。
ただ正直、私はこの成長を素直に喜べない部分があります。
業界が大きくなるほど、私は違和感を覚えるんです。今日はその話をします。
久田晃市場規模はすでに1000億円を超えている
業界規模で言うと、マッチングアプリ市場は2020年代の段階ですでに1000億円を超えています。
数字の絶対値で見ると、スキンケアや車など他業界に比べたらまだ小さい部類です。
でも「アプリで出会うこと」が当たり前になった点では、私が大学生だった2010年代と比較にならないほど普及しています。
2025年でもいくつかのマッチングアプリは終了しました。
一方で、生き残ったアプリはより大きく成長していきます。
既婚者向けのマッチングアプリも増えてきました。
これが良いか悪いかという議論はさておき、需要があるのは間違いありません。
結果として、不倫や浮気を助長する側面が出ているのも事実です。
1対1から、合コン型・2対2型へ
最近は1対1の従来型だけでなく、合コン型のマッチングアプリや、2対2で会えるアプリも出てきています。
利用される機会も、目に見えて増えてきている印象です。
出会い方の選択肢が広がっているのは、純粋に良いことだと思います。
- ● マッチングアプリ市場規模は1000億円超え
- ● 既婚者向け・合コン型・2対2型など多様化
- ● アプリで出会うことが当たり前の時代
→ 業界の構造を見る
恋愛ビジネスの皮肉な構造
ここからが今日、私が一番伝えたい話です。
私たちのような小さい会社がモノを申すのも心苦しいのですが、それでもなお現状の構造的問題は解決されないと感じています。
なぜか。
恋愛サービスやマッチングアプリのビジネスは、モテない人がそれを使うことで成り立つからです。
恋愛で困っている人。
出会いがない人、付き合えない人、結婚できない人。
そういう人たちがいるから、業界が成り立っている。
これ、考えれば考えるほど皮肉な構造なんです。
恋愛で困る人がいなければ、私たちの仕事は存在しない。
これが業界の根本構造です。
困る人がいなくなることが、本来の理想
本当の理想は、モテない人や恋愛で苦しむ人が世の中からいなくなることだと、私は思います。
なぜなら、それによって多くの人が楽しい人生を送れるようになるからです。
恋愛がうまくいかない苦しみを抱えている人を見てきて、本当に強くそう思います。
でも、その理想が実現したら、私たち恋愛をサポートする側のビジネスは成立しなくなる。
ここに、業界が抱える本質的な矛盾があります。
久田晃困っている人が増えるほど、業界は儲かる
少し冷たい言い方になりますが、これを見ているあなたが恋愛で悩まなければ、私たちの会社も存在することができません。
世の中に恋愛で困る人がいなければ、マッチングアプリ自体も必要なくなる。
これは面白い話だと思いませんか?
困っている人が多ければ多いほど、悩んでいる人が深く悩むほど、マッチングアプリや恋愛を教えるサービスは儲かる。
困窮が事業の燃料になっているのが、この業界の現状なんです。
でも、それは本来あるべき姿ではない
この構造を、私は将来的には変えたいなと感じています。
本来あるべき姿ではないと、本気で思うからです。
恋愛で困らない人を増やすほど自分のビジネスは縮小する。普通に考えたら矛盾します。
でも、その矛盾を引き受けたい。
困っている人を一人でも減らすことを優先する事業でありたい。
それで会社が小さくなっても、それは社会的に意味のある縮小だと思っています。
- ・人の悩みを利用するのではなく、悩みを解消する方向に事業を向ける
- ・恋愛サービスの価値を「困っている時間を短くする」ことに置く
- ・市場が縮小しても本質的に必要とされる事業を残す
UKERUとして向き合いたいこと
営業をしていた頃、高いものを売るという定義を、人生を変える提案をするという定義に変えた瞬間がありました。
恋愛・仕事・暮らし・心。
様々な側面から「自分らしく生きられない」と感じている人を、少しでも減らしたい。
マッチングアプリ業界の成長は、それだけ困っている人が多い証拠でもあります。
業界が伸びる事実をビジネスチャンスとしてだけ見るのではなく、社会の課題が深刻化している指標として捉えたい。
そう考えると、私たちが今やるべきことは、市場拡大に乗ることではなく、根っこの課題に向き合うことだと思っています。
正直、私が経営2年目に入って、一番強く考えるようになったのがこのテーマです。
起業した当初は「事業を伸ばしたい」「売上を上げたい」というシンプルな気持ちが大きかった。
でも事業を続けるほど「自分は本当に何を解決したいのか」という問いが頭から離れなくなりました。
その問いに正直に向き合った結果、私が出した答えがこの違和感の話なんです。
久田晃まとめ
今回はマッチングアプリ業界の構造と、私が経営者として感じる違和感についてお話ししました。
業界は市場規模1000億円を超え、形を変えながら成長を続けています。
一方で、それは「恋愛で困る人が増え続けている」という社会的な現象の裏返しでもあります。
半年間サポートしても行動が変わらない受講生と向き合い、私のサービスでは救えないと認めた経験があります。
恋愛もその大きな一角を占める領域だと考えています。
困っている人を減らせば、自分のビジネスは小さくなる。
それでも、本来あるべき姿に近づける選択をしたい。
あなたも自分の仕事を見つめ直したとき「市場が伸びている=良いこと」ではない瞬間に出会うことがあるかもしれません。
そのときに、その違和感を大事にしてみてはいかがでしょうか?
市場が伸びるほど悩む人も増える。
私はその課題に向き合いたい。
成長の裏の痛みを見る。
