
日常
30メートル先のコンビニの話|話の面白さは中身より出し方で決まる
投稿 2026.11.08 05:21
コーラが飲みたくなって冷蔵庫を開けたら、家にない。
30メートル先のコンビニまで買いに行って、帰ってくる。
何も起きません。
私はこれだけの話を、どうすれば面白く話せるのかを何度も作り直したことがあります。
きっかけは、そこそこ有名な芸人さんが4組出たお笑いライブで、私が一度も笑えなかったことでした。
笑えなかった理由を考えているうちに、話の面白さそのものを分解してみたくなったんです。
今回は、話の面白さは中身よりも出し方で決まる、という話です。
久田晃話の面白さは、中身を足さずに出し方で決まると思います
コーラの話を何度も作り直して分かったのは、面白さは中身を足すことではなく、同じ素材の出し方で決まる、ということでした。
そもそも人が誰かの話を聞くときには、大きく3つの理由があると私は考えています。
- ● トークそのものの面白さ
- ● その人の経験や体験
- ● その人が持つ技術や知識
1つ目は、構成や話し方で人が笑うように作られた、トークそのものの面白さです。
2つ目は、その人の経験や体験を聞きたいから聞く、というものです。
3つ目は、その人の技術や知識を学びたいから聞く場合で、仕事の話はほとんどこれに当たると思います。
このとき私が練習したかったのは、1つ目のトークの面白さでした。
だから大前提として、中身を足してはいけない、と決めました。
事件を作ってしまえば、それは経験の面白さに逃げたことになるからです。
同じ素材のまま、出し方だけで面白くする。
それができて初めて、トークの力がついたと言えるのだと思います。
だから練習の素材には、むしろ何も起きない話のほうが向いていると考えました。
30メートル先のコンビニへ行くだけの話
作り直した話の骨組みは、本当に単純です。
冷蔵庫にコーラがないので、30メートル先のコンビニへ行き、買って、帰ってくる。
これを、語り手だけが大げさに熱くなる形で話していきます。
たった30メートルですよ。
一生に一回あるかないかの覚悟で行きました。
着いた。
あった。
コーラ、売ってた。
家、着きました。
何も起きませんでした。
出来事はとても小さいのに、話している本人だけが人生をかけたような温度で語っている。
事実は一つも動かさずに、語り手のテンションだけを大きくする。
この温度のずれが、笑いの元になるんですよね。
ドアノブを握って回すような当たり前の動作を、大真面目に実況していくのもその一つです。
聞き手は、何かが起きるぞと身構えながら聞いてくれます。
そして最後に何も起きないことが、そのままオチになります。
1足すのは得意、削るのが難しい
正直に書くと、最初に作ったときは、後半にいろいろなものを足していました。
コーラの150円という値段、店員さんの笑顔、こんないい人生はない、という一言です。
添削を受けて、これを全部削りました。
煽ったあとは、削るほど落差が立つからです。
150円という値段も、事実を足していることになるので消しています。
そのとき、私に残った課題は一つにまとまりました。
足すのは得意。次は、足さない勇気です。
足すより削るほうが、ずっと勇気が要ると、このとき初めて知りました。
久田晃「なんとまさかの」を消したら、二度寝の話が立った
同じ日に、もう一つ例題で練習しました。
目覚ましが鳴って止め、5分のつもりで目を閉じたら、2時間たっていた、という話です。
私が最初に書いたのは、なんとまさかの2時間もたっていた、という一文でした。
この、なんとまさかの、を消すことになりました。
理由は、語り手が先に驚くと、聞き手が驚く場所を奪ってしまうからです。
1前半は熱く、後半は平然と
直したあとの流れはこうです。
前半は、5分でいい、5分後の自分は絶対起きる、と大げさに保証しておきます。
そして、目を閉じました、で一拍。
最後は、2時間たってました、とだけ平然と置きます。
前半で熱く上げて、後半は感想を消して下げる。
この高低差が、笑いのエンジンなんです。
前半の憂鬱な気持ちや5分への執着は込めてもいいんです。
消すのは、なんと、まさか、驚いた、という結果への感想だけでした。
込める場所と消す場所を分けることが、いちばんの学びだったと思います。
仕事の説明や自己紹介でも、まず一つ削ってみる
この練習をしてから、話すときに足すより削ることを考えるようになりました。
面白くしようとして言葉を重ねるほど、聞き手が想像する余地は減っていくのだと思います。
削ると、空いたところを聞き手が自分で埋めてくれます。
これは笑いの話に限らず、仕事の説明や自己紹介でも同じではないでしょうか?
たとえば自己紹介で、すごいでしょう、と言いたくなる一言を一つ削ってみる。
結果に対する感想を消して、事実だけを置いてみる。
話のどこで一拍置くかを、先に決めておく。
- ・事実を足さない
- ・結果への感想を消す
- ・オチの前に一拍置く
どれも、何かを新しく身につけるというより、やめることのほうが多いです。
だからこそ、今日からでも試せるのだと思います。
話がうまい人というのは、たくさん話せる人ではなく、どこを削ればいいかを知っている人なのかもしれません。
まとめ
今回は、30メートル先のコンビニの話を作り直して気づいた、話の面白さについてお話ししました。
面白さは、中身を足すことではなく、同じ素材の出し方で決まります。
私が事業でやりたいのは、なりたい自分になれる社会をつくることです。
なりたい自分というのは、自分を大きく見せるために何かを足した姿ではないと思っています。
今ある素材のまま、出し方を工夫するだけで、人に届く話はできるはずです。
あなたも次に誰かと話すとき、一言だけ削ってみてはいかがでしょうか?
久田晃話の面白さは、中身より出し方で決まります。
足さない勇気を持つ
